バングラデシュからはとうの昔に帰ってきていたのですが、すっかり筆足は遠のいておりました。「アウトプットできそうだと思いすぎると何も書けなくなる」などと2回前くらいに書いたのですが、もはやそんな次元でもなく、単純にこのブログの存在を忘れてしまっていた次第です。
長らく放っておいたのはさておき、その間のことを思い出してみれば、ネタ自体はないわけでもありません。今回はとりあえず、バングラデシュでの業務がひと段落したので業務を通して感じたことをまとめてみたいと思います。
業務を通じて感じたことを一言でまとめると、「解像度の向上」、ということになろうかと思います。何を言っているかと思われるとは思いますが、説明していきましょう。
今回の業務では、1年間にわたって4回の渡航をしました。そもそも初めて行く場所なので、現地調査や現地の会社とのやりとりはもちろんのこと、移動一つをとってもいちいち「大丈夫なのか??」とか「どこに行けばいいのだ?」みたいな緊張があったわけです。それが、2回目、3回目となると、自分の頭の中に経験値が積み重なってくるので、気にすることがより細部に変わってきます。例えば、ホテルや空港なんかでは、いままではどうしたらよいかわからなかったものが、やることはわかった上で、効率的にするにはどうすればいいのかを考える感じになります。要するに、経験値の積み重ねで行動の予測が立つようになったわけです。さらに、それ以上に印象に残ったのが、現地を見る解像度も徐々に上がっていく様子を実感したことです。
今回の調査地であったバングラデシュ東南部は、水田地帯に丘陵地が広がる場所で、ぱっと見の景観は日本とほぼ変わりません。もちろん詳細に見れば日本とは違うのですが、「異世界感」みたいな新鮮味はなく、正直、旅行として行くのは全くお勧めできません。私自身も、初回渡航では調査地区よりも、街のほうがずっと印象に残っていました。1回限りの旅行で行くのであれば、日本ではありえないくらい混沌としたカオスな街を歩くほうが楽しめるのは間違いありません。
が、2回目となると話は変わってきます。まず、街にはなれます。多少のカオス具合にはあまり何も感じなくなります。一方で、調査地はといえば、1回目のデータと経験がある程度整理されたことで、2回目には見えるものがだいぶん変わってきました。特に、同じ水田地帯や丘陵地の山林での人の動きが徐々に理解できるようになってきて、「山がこうなっているのはそういうことか!」、「日本ではこれは機械化されているけれど、ここではそうしているのか!」とか「だから野生動物はここに来るのか!」、等、見える世界の解像度が大きく変わってくることに気づきました。
よく考えれば、こうした類の気づき・快感は、この業務でのみ感じることでもなく、普段の国内業務でも当然感じるものです。今回は、ぱっと見の景観ではあまり印象に残らなかったにもかかわらず、前提知識を入れたうえで見ると、日本とはだいぶ事情が違うものが多く存在したことで、よりこれに気づきやすかったのかと思われます。
現在は日本にいるわけですが、帰ってきた今、実は似たような経験をしております。
私は一応、水生生物が専門ではあるのですが、視野を広げるべく樹木医試験の受験に挑戦しております。勉強当初はスギとヒノキの区別すら危ういくらいだったので、本を読んでも過去問を解いていても「何がかいてあるのかさっぱりわからん!」という状態だったのですが。が、わからないなりに繰り返し(これ大事)やり続けると、次第に頭に入ってきます。多少頭に入った状態で外に出たり、植物に詳しい人の話を思い出してみると、「あっ、これが書いてあったあれか!」、とか、「そういうことだったのか!」という気づきが増えました。なんだか新しい世界への扉が開いたような感覚があり、この分野でいままさに解像度向上の途上にあると実感しています。
ただ、自分自身の「解像度が上がっている」というのは簡単ですが、その上限はきっとありません(客観視すれば、もともとが低すぎただけで上がっても世間的にはまだ低い)。知れば知るほど、さらに知らないことが見えてくるので、それこそ上限は無限大です。
……ということで、まずは樹木医試験の勉強、頑張ります。少なくとも試験合格レベルまで解像度を上げていきたいところです。

